
先日、Jazz Todayというフリーペーパーのインタビューで、アート・リンゼイが「学生時代に能楽に出会って、凄く魅了された。」と語っているのを読みました。
今まで、日本の伝統音楽について考えることなどなかったのですが、それを読んで以来「そういえば、どんな感じなんだろう?何も知らないぞ。」と、興味が膨らんできました。
そこで、日本の伝統音楽のオムニバスCDを入門用として買ってきました。そこに収録されていたのは
雅楽 - Court Music Of Japan
能楽囃子 - Music Of The Noh Theatre
尺八 - Music Of The Shakuhachi
筝曲 - Music Of The Koto
声明 - Japanese Buddhist Chant Of The Shin-gon Sect
文楽 - Music Of The Bunraku Theatre
奄美しまうた - Folk Song Of Amami
沖縄しまうた - Folk Song Of Okinawa
アイヌのうた - Song Of The Ainu
英語による説明(?)も面白いので書き写してみましたが、簡潔なぶん分かりやすい。(「Folk Song」というのは、アコースティック・ギターで弾き語っている・・・というのでは勿論なく、民謡のような音楽を指すときにも使われる言葉です。)
何の知識もなく空っぽの状態でこのCDを聴いたのですが、その格好よさにビックリしました。全く触れたことがないというわけではなく、これまでどこかで確かに耳にしたことのある世界なのですが。
雅楽は、ドローンミュージックとかミニマルミュージックと同じ文脈で聴くことができるのではないでしょうか?荘厳な美しさを感じます。これは厳密に構成された音楽なのでしょうか?ある音に呼応するように別の音が立ち上がってきて・・・新鮮な発見。ある種のトランスミュージックともいえそうです。声明は、インダストリアルミュージックと並べて聴けそう。能は音楽だけでも格好いいけれど、舞台も合わせて観た方がもっと楽しめるかな?尺八や琴はイメージ通り。水がちょろちょろと流れる音や、鹿威しの音が聞こえてきそうです。大変に風雅。琴と尺八の「春の海」(筝曲)はいつか音源が欲しいと思っていました。これでいつでもお正月気分に浸れます(?)。奄美、沖縄、アイヌの歌も、とても興味深い。
個人的に、こういう音楽に対しては学術的なイメージがあって、そういう堅苦しい接し方をするものであり、気軽に楽しめるようなものではない、というような先入観があったのですが、そういう思い込みは意味のないものである、と改めて思いました。
私は、ビル・ラズウェルやジャー・ウォブル、ブライアン・イーノというような人たちの音楽に対するスタンス(それ自体を目的とするのではなく、興味の赴くまま、結果としてジャンルの壁を越境しているような、「この音楽格好いいな、取り入れてみよう」というような、ある種のミーハー的感覚)が大好きなのですが、そのような姿勢は、真剣に学術的な面から研究を重ねている人から見たら、軽薄、或いはアレンジも通俗的に映ってしまうかもしれません。しかし、敬意を忘れてはいけないけれども、普段着のまま、部屋で純伝統音楽や、それらを取り入れた音楽をポップ・ミュージックと並べて聴くのは、何も悪いことではないし、自分には思いもよらなかった角度からの視点にビックリしたり、目から鱗が落ちたり、とても楽しく刺激的な体験であると思います。
posted by siesta at 00:00|
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