2005年06月04日

読書の周辺

読書をする人は沢山居ると思いますが、皆さん、自分なりのこだわり読書スタイルはありますか?私の場合は、まず作務衣に着替え、うがい手水に身を清め・・・というのは嘘。

いつも思うことは「こうすれば頭が澄み渡り、心も落ち着いて、次から次へと本を我がものにすることができる・・・」というスタイルはないものか・・・ということ。良いアイディアはないでしょうか・・・?貴方は、どのようなスタイルで本を読みますか??

私の場合は・・・最初はデスクに向かい、姿勢を正して本をひろげていることが多いのですが、いつのまにやら椅子を後ろの方までずらして、高さを一番低いところまで下げ、足をデスクの上に放り上げ、しかもずり落ちそうなところまで腰の位置をずらしているので、床に転落しないことの方に注意を傾ける余り、本の内容は一向に頭に入ってこない・・・或いは、床に転がって、とにかく何か高低差のあるものに足を引っ掛け、そのうえ身体をねじった状態でいるので、本を読もうにも居心地の悪さに頭は空転するばかり・・・という有様。

と、こんな馬鹿らしい話をしているのは、イタロ・カルヴィーノの「冬の夜ひとりの旅人が」という本を読み始めたところ、「本を読むのに理想的な姿勢というのはなかなか見つけにくいものだ」とあり、「足を高くしておくというのが読書を楽しむ第一条件だからだ」という文章に続いて「脚をのばして、クッションの上に、またはクッションを二つかさねにした上に、長いすの肘かけの上に、ソファーの腕に、ティー・テーブルの上に、書物机の上に、ピアノの上に、あるいは地球儀の上に、足をのせなさい。」と書いてあるのを発見し、意外と自分以外の人も読書の姿勢に苦労しているのだろうか・・・と思ったから・・・

「燭台は高きに置け」とバイブルに在るというのは、太宰治の小説で知ったことなのですが(確認はしていません)、「(読書をするときには)足は高きに置け」という教えを、今回カルヴィーノの小説で得ることが出来ました(私は正しかった?)。

もちろん、この本は延々とこんなことが書いてあるわけではなく、錯綜する断片的な物語と読書体験がリンクし、新しい読書感を得ることができる小説・・・なのだと思います。というのは、姿勢の探求に専念する余り、なかなか読み進むことが出来ないから・・・きっと、とても面白い小説に違いないのですが・・・

読書のお供として、飲み物を用意するのも良いかもしれません。ハーブティーなんかよさそうです。それとも、イギリスの作家には紅茶、フランスの作家にはカフェオレ、カルヴィーノはイタリアの作家なので、カプチーノが良いのでしょうか。

カプチーノといえば、伊藤園の缶コーヒーのカプチーノは、シナモンの風味が絶妙で大層お気に入りだったのに、最近見かけなくなってしまいました。製造中止なのでしょうか?とても悲しい。缶コーヒー特有の嫌な後味がなくて、すっきり美味しいお勧めの一品です(でした)。

また、本を読んでいると、お腹がすいてくるかもしれません。食べ物は、ゆでたカニとか、カレーうどんは避けたいところです。柿を剥いて一口サイズに切ったものに楊枝を刺したものでも準備して・・・

音楽はかけますか?何をかけましょう??静かめのクラシックなどを・・・ピアノ曲なんかいかがでしょう。

その前に、部屋が散らかっていると気が散って仕方がないので、まず部屋を片付けて・・・

時間を有効に使う為にも、洗濯機も廻しておきましょう・・・

ああ、洗濯が終わってしまった・・・干さなくては・・・

やっぱり、音が聞こえてくると本に集中できないので、耳栓をして・・・

ついでにアイマスクもして・・・

zzz・・・

このように読書とは、大変な難事業であることが改めて確認されました。


冬の夜ひとりの旅人が
冬の夜ひとりの旅人が
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2005年05月17日

吉行淳之介 / やややのはなし

吉行淳之介の「やややのはなし」というエッセイ集に収められている「自作再見『夕暮れまで』」という作品に、こんな文章を発見しました。


 『ところで、私はドビュッシイのピアノ曲が好きで、戦争中からずっと続いている。十数年前、サティが流行したことがあって、これはドビュッシイの親戚筋の身持ちの悪い男という感じで、その分だけ悪いところも良いところもある。しかし、やはりドビュッシイのほうが倦きない。「前奏曲」や「映像」には、一つ一つユニークな題名がついているが、おそらく曲ができ上がってから、遊び半分に付けたものだろう。』


この本は古本屋で発見して、パラパラと覗いた後に購入したのですが、そのパラパラのとき目に付いたのが「子供の時間」というタイトル。どうやら、「子供の時間」(子供の頃)というテーマの元に書かれた小品集の様子(この本の全てがそれというわけではなくて、それは一部)。なんとなく私の頭に浮かんだのは「Children's Corner」(「子供の領分」)というドビュッシーのピアノ曲集のタイトル。

別にそれとは関係なしに、面白そうなので購入したのですが、家で読んでいて上記の文章が出てきて私も「ややや」。ひょっとすると吉行淳之介がドビュッシーを好きであった、というのは有名なはなしなのかもしれませんが、私は知らなかったので意外なところで繋がって「ふ〜む」と唸ってしまいました。サティの説明も面白い。サティという人は相当の変わり者だったようですね。それが曲にも現れているような気がします(タイトルもヘンテコなのばかり!)。

「自作再見『夕暮れまで』」という作品は、「夕暮れまで」を書いたときの狙いの一つに、文字を使ってドビュッシーのピアノ曲のようなものを書いてみたいというものがあった、という内容で、「子供の時間」とは別の作品なのですが。

しかし、それを知ってみると・・・この本には「小道具たちの風景」という小品集も収められています・・・これもまた、ドビュッシーを思わせるような・・・というよりもサティ?

まあ、こじつけようと思えば、いくらでも繋がっていくものですが、何となく面白い。

「自作再見『夕暮れまで』」は「夕暮れまで」のある章が「海」という文芸誌に掲載されたという内容の文章で締められるのですが、ドビュッシーにも「海」という作品がありますね。面白い!

「海」に関しては、こんな興味深いエピソードも。(※ドビュッシーの「海」と葛飾北斎の絵との関係についての記事があったので、リンクを貼っていたのですが、ページがなくなってしまったようです。)


【追記】
一通り書いた後、ふと思い出したのですが、吉行淳之介の本のタイトルにそのものずばり「子供の領分」というのがありました・・・またまた「ややや」。
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2005年04月07日

ブレイク詩集

対訳 ブレイク詩集―イギリス詩人選〈4〉

私は根気がないのか、詩というものを腰を据えて次から次へと読む、ということが出来ないのですが、このウィリアム・ブレイクの詩集を手にとって拾い読みしたところ、なんといえばよいのか神秘的なイメージが目の前に断片的ながらも浮かび、自分は扉の隙間から覗き見ることしか出来ないけれども、この世界は凄い(というのも芸のない言葉ですが)ものなのではないか、この扉の中に入っていくことが出来たら・・・と夢想しながらも、気が散って本を置く。ということを繰り返しているのですが、それだけでもなんだか楽しい体験なのです。

この文庫は、英文と対訳が並べて収録されているので、英文を読んで、訳文を読んで、自分でも訳(というか解釈)してみるというような楽しみ方も出来ます。挿絵も豊富なので、おすすめです。
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2005年03月29日

深沢七郎 / 楢山節考

本を読んで涙が出る、という経験は殆どないのですが、この作品を読んだときは涙がこぼれました。

この作品は、姥捨て伝説を小説にしたものです。

舞台となる時代がいつの頃なのかわからないのですが、親を山に棄てに行くなんて、現代の感覚では考えられない残酷な仕打ちに思えます。しかし、それを現代の価値観で断罪することは出来ません。ぎりぎりの貧困、村社会の因習を背景としたなかで、そうする他ない状況があったわけです。

そういった状況では、皆(今の感覚からいえば)人間性が失われてしまうかというとそうではなく、棄てられる母親と、母を棄てに行く息子、その両者の心遣いが痛いくらい伝わってきます。

終盤、母を背負って雪山を行く場面はなんどもこみ上げてくるものがありました。圧倒的な白の世界が目の前に広がり、その情景とあいまって。

このように書くと、お涙ちょうだいの湿っぽい作品かと思われそうですが、そうではなく非常にドライで、第三者的な醒めた視点から綴られているような印象を持ちました。

ごつごつとして洗練されていない、でもだからこそ深いところまで響く作品だと思います。
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