2005年04月11日

歪んだ憎しみ

人の情に訴えかけるような表現を使って、自分と異なる(或いは、自分にとって不利益な)意見を封じ込めようとする(「貴方の良心を信じます」「反対する奴は、人の心を持たないのか!」とでもいうような感じで)のは、非常に姑息なやり方だと思います。ヒューマニストを装う人々の根底にあるのは、義憤ではなく歪んだ憎しみなのでは?いや、もっとしたたかなのでしょうか。

そのようなものに流されない為にも、冷静に自分なりの考えを持つ(自分で考える)ことに意識的であることの必要性を強く感じます。なにか、具体的な行動を起こす(起こせ)ということではないのですが。無意識にメディアなどに接していると、都合の良いようにコントロールされてしまいます。

なにごとに関してもですが、原理主義的な考え方は危険なものだと思います。生きている中で考えが様々に変わるのは、当然のことなのではないでしょうか。真理に辿り着いたつもりの、思考が硬直化した人というのは、非常に不自然な存在なのではないかと思います。いつの間にやら、自らの理想とする社会(あまりにも独善的で話にならない)を実現する為には手段を選ばない(自分の思想と現実との間で辻褄の合わないことが出てきたとき、自分の考えを見直してみるという選択肢なしに、現実の方を自分の理想の側に捻じ曲げようとする)、というようなテロリスト的な思考に辿りつく危険性を感じます。
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2005年04月07日

ブレイク詩集

対訳 ブレイク詩集―イギリス詩人選〈4〉

私は根気がないのか、詩というものを腰を据えて次から次へと読む、ということが出来ないのですが、このウィリアム・ブレイクの詩集を手にとって拾い読みしたところ、なんといえばよいのか神秘的なイメージが目の前に断片的ながらも浮かび、自分は扉の隙間から覗き見ることしか出来ないけれども、この世界は凄い(というのも芸のない言葉ですが)ものなのではないか、この扉の中に入っていくことが出来たら・・・と夢想しながらも、気が散って本を置く。ということを繰り返しているのですが、それだけでもなんだか楽しい体験なのです。

この文庫は、英文と対訳が並べて収録されているので、英文を読んで、訳文を読んで、自分でも訳(というか解釈)してみるというような楽しみ方も出来ます。挿絵も豊富なので、おすすめです。
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事実はひとつ。解釈は?

教科書検定の結果が出たようですが、やはり話題に上がるのは歴史教科書。事実はひとつ、しかしその解釈は幾通りもあって当然だと思います。あいかわらず、己の(都合の良い)解釈を唯一のものとして絶対視し、それを強引に押し付ける(場合によっては手段を選ばず、異なる意見を抹殺する)ことこそが正義である、と考えていそうな「良心的」勢力が国内外にいるようですが、もう少し平和的な態度を望みたいものです。
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2005年04月06日

桜の樹の下には

そろそろ桜の季節です。普段気にすることもなく横を通り抜けていた枯木(のように見える木)が、明るい花をいっぱいに咲かせている姿には、思わず足を止めてしまいます。

所々穴があいていたりして、やせ細って黒ずんだ寂しげな木にも、脈々と流れているものがあり、一年に一度、美しい花を咲かせるとは、実にあっぱれ。。。

しかし、桜の花がとても美しいのは確かですし、みとれてしまうのですが、みているうちに胸騒ぎというか、だんだん落ち着かない気分になってくるような。

見知らぬ山で、一面見渡す限り満開の桜。一人、歩いても歩いても桜吹雪。。。なんて境遇に陥ったら、果たして正気を保ちつづけることができるでしょうか。

それはともかく、一年に一度のこの季節、酒盛りもいいけれど、一人静かに桜を見上げてみるのも乙なものです。夜の神社やお寺なんか、なかなか良いのではないでしょうか。押し花にするのも一興(それでは桜の意味がない?)。私も去年作ったのですが、どの本に挟んだのか忘れてしまって。。。

個人的には、散った後の葉桜もなかなか味わい深くて好きなのです。
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2005年04月05日

Friction / Skin Deep

音と音の間に隙間が多く、そこになにやら不穏な空気が充満している。前作「軋轢」をはじめ、ライブ盤も含め全てが名盤であり、それぞれが繋がり(連続性)を感じさせつつ、それぞれの作品に独自の魅力があるのですが、当時リアルタイムでFrictionを追いかけていたファンは、この作品がでたときどのような感想を持ったのでしょうか。

当時の音楽的状況を考えると(または、ライブに熱心に通っていたようなファンには)、意外と違和感なく受け入れられたのかもしれませんが、前作「軋轢」や、その当時のライブ録音と比べると、随分と音楽性が変化しているように感じます。

殆ど(全て)の曲がミドルテンポ。不穏で金属的なSEが挿入され、ギターはファンキーなカッティングを聴かせる場面もあるものの、殆どがノイズ的というか、これもまたSE的な役割が殆ど。空気を震わせるベースの存在感が強烈。ベースとパーカッションが音楽の根幹を成しており、それらの上を、シェイプアップされ研ぎ澄まされた言葉(ヴォーカル)が泳ぐ。

それにしても、音楽全体に強度と深みを与えているベース。ビートを作り出しながらも、不規則(というわけでもないのでしょうが)に動き回るそのベースラインの裏には、強烈な意識、意思を感じます。

ジャケットも格好いいです。Amazonに写真がないので、載せることが出来ないのが残念。

もし可能ならば、この作品のリミックス(陰影を際立たせるような、リマスタリング的な意味での)を聴いてみたいものです。このもやがかかったような空気感あってこそなのかもしれませんが。
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2005年04月01日

Jah Wobble & The Invaders Of The Heart / Molam Dub

Molam Dub

ジャー・ウォブルという人は、Public Image Limited脱退後は結構波乱万丈の人生を送ったようですが、現在はミュージシャンとして理想的な道を歩んでいるといってよいのではないでしょうか。

世界中の様々な意識的なミュージシャンと交流し、枠にとらわれず、興味や好み、考え方の変化などを自然に反映させながら音楽を創造している(と、私には感じられる)姿勢には、こちらも興味をかきたてられます。

このアルバムでは、パリをベースとして活動しているラオスのアンサンブルMolam Laoと競演しています。東南アジアの伝統的な音楽とディープでへヴィなレゲエ/ダブのサウンドとの融合。近未来的な情景が浮かぶような、とても格好いい音楽です。

海外の音楽となると、やはり欧米(中南米)の音楽が中心になります。私はエッジのある音楽というか、精神的な意味でのロック(でもジャズでも言葉は何でもいいですが)を感じさせる音楽に惹かれるのですが(ジャンル的な意味でのロックが好きかというと、必ずしもそうではないという意味で。勿論、好きなものも沢山あります)、欧米以外の地域にも当然様々な音楽が存在しており、そのような(エッジのある)音楽も沢山あるのだろうということに、このような音楽を聴くと改めて気がつかされます。

ヒットチャートは世界中何処だって似たり寄ったりだと思いますが、それぞれの地域の伝統を継承した現代の音楽(時間と地域の二つの軸が交差しているような)というのもあるでしょうし、面白そうです。
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2005年03月31日

Antonio Carlos Jobim / Composer

コンポーザー/ベスト・オブ・アントニオ・カルロス・ジョビン

ジョビンの歌は下手だ、下手だと云われますが、私には何処が下手なのかよくわかりません。私も音痴だからでしょうか?暖かみがあって、味わい深い歌だと思うのですが・・・確かにアルバム「Terra Brasilis」などは酔っ払いの鼻歌のように感じる曲も数曲あったりしますが・・・それもまた良し。

このアルバムは、ジョビンが60年代にワーナーに吹き込んだ曲がギッシリ28曲も収録されています。ジョビンの最初の一枚としては最適ではないかと思います。有名な「Wave」も勿論素晴らしいのですが、あちらは一曲を除いて(その一曲がまた素晴らしい)全てインストなので。

インストはインストでコンパクトにまとまっていて、洗練された響きが実に素晴らしいのですが。ドビュッシーやラヴェル、ガーシュウィンやサンバなんかのエッセンスを纏めて磨き上げた音楽、というような印象があります。理論的なことは、全く分からないのですが。

このCDは収録時間も長いし、休日の昼下がりに流していると、いい気分になれるかもしれません。
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Faure / Requiem

フォーレ:レクイエム

心が慰められ、この上ない安らぎを与えてくれる音楽。

私は無宗教のうえ、キリスト教に対する知識もまるでないのですが、私のような人間でもこの音楽を前にすると、その慈愛に満ちた穏やかな世界に言葉を失ってしまいます。

この純朴ともいえるような、祈りの音楽に抱擁されたまま眠り(普通の睡眠のことですよ!)につくのは、至上の体験といえるかもしれません。

レクイエムを子守唄にすることがどういうことなのかは分かりませんが、甘美な眠りへと誘ってくれる音楽だと思います。
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2005年03月30日

Joao Gilberto / 三月の水

三月の水

なぜ、このアルバムにたどり着くまでに時間がかかったか?それはやはり、ジャンルの囲いにとらわれていたから。私の持っていた音楽ガイド本には載っていなかった。というのは個人的な経験ですが、このアルバムはボサ・ノヴァで最初に聴くなら?という質問に対して、かなりの確率で挙げられるであろうアルバムだと思います。

私はアストラッド・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンのアルバムに続いてこのアルバムを手にとりました。そして、このアルバムを聴いて一気にブラジル音楽への興味が深まりました。

それから、それなりにブラジル音楽も聴き進めてきたのですが、いろいろ聴いていくにつれて、このアルバムがより際立ったものであることに気がつきました。

このアルバムに納められている音楽には、内向して沈み込んでいく感覚があります。アルバム製作当時のジョアン・ジルベルトを取り巻く環境がどうであったのかはわかりません。意外と冗談でも言いながらつくられたものなのかもしれません。しかし私がこのアルバムに感じるのは、孤独感。

ボサ・ノヴァに対する一般的な印象というか、認識は・・・お洒落とか、清涼感がある音楽という感じでしょうか。これは、一昔前のカフェブームの功罪でもあるかもしれませんが。お洒落なボサ・ノヴァを期待して聴くと、少し肩透かしというか、「あら?」という感じになるかもしれません。

基本は声とギター。控えめなパーカーショッンやコーラスが入る曲も。無駄なものが何もない。かといって、物足りなさを感じるような部分も全くない。不思議です。

また、ジョアン・ジルベルトのギターカッティングは、非常にドライブ感があるので、そのリズム感も大変魅力的です。

一時は取り付かれたようにリピートして聴いていました。この先もそうなる時期が何度も訪れると思います。何度聴いても消費されることがない音楽です。

エンジニアはウォルター(ウェンディ)・カルロス。映画「時計仕掛けのオレンジ」で作曲・編曲を担当していた人ですね。
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2005年03月29日

深沢七郎 / 楢山節考

本を読んで涙が出る、という経験は殆どないのですが、この作品を読んだときは涙がこぼれました。

この作品は、姥捨て伝説を小説にしたものです。

舞台となる時代がいつの頃なのかわからないのですが、親を山に棄てに行くなんて、現代の感覚では考えられない残酷な仕打ちに思えます。しかし、それを現代の価値観で断罪することは出来ません。ぎりぎりの貧困、村社会の因習を背景としたなかで、そうする他ない状況があったわけです。

そういった状況では、皆(今の感覚からいえば)人間性が失われてしまうかというとそうではなく、棄てられる母親と、母を棄てに行く息子、その両者の心遣いが痛いくらい伝わってきます。

終盤、母を背負って雪山を行く場面はなんどもこみ上げてくるものがありました。圧倒的な白の世界が目の前に広がり、その情景とあいまって。

このように書くと、お涙ちょうだいの湿っぽい作品かと思われそうですが、そうではなく非常にドライで、第三者的な醒めた視点から綴られているような印象を持ちました。

ごつごつとして洗練されていない、でもだからこそ深いところまで響く作品だと思います。
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